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組織球症とはロサイ・ドルフマン病
Rosai-Dorfman Disease(RDD)

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ロサイ・ドルフマン病(RDD)とは?

LCHとは?

ロサイ・ドルフマン病(RDD)とは、血液細胞の一種である組織球が腫瘍化した病気で造血器悪性腫瘍です。
小児や若年成人に多い疾患で、海外では20万人に1人の発症と報告されており、日本では年間2例ほどしか日本血液学会疾患登録に登録されておらず、非常にまれな病気です。
病気が珍しいため、なかなか診断がつかず、診断がついても適切な治療がされないこともあります。

ロサイ・ドルフマン病(RDD)の症状

比較的大きめで、左右対称に痛みを伴わない頸部リンパ節腫脹を認めることが特徴的です。約半数の方でリンパ節以外にも病変を認め、最も多いのが皮下腫瘤、鼻腔、骨、軟部組織などにみられます。RDDの約10%に全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶結性貧血などの自己免疫疾患を合併します。また、一部のRDDではIgG4陽性細胞が増えるため、RDDとIgG4関連疾患の鑑別が難しいことがありますが、病理検査や必要に応じて遺伝子解析を行うことで、より正確に区別することができます。

  • 神経系
    10% 硬膜や脳実質に病変がみられます。
  • 眼窩
    5% 眼窩腫瘤(目の周りにしこり・腫れ)が生じます。
  • 呼吸器
    10%~20%主に気道周辺や副鼻腔に異常が生じます。
  • 皮膚
    50% 皮膚の下に柔らかいしこり(軟部組織病変)が生じます。
  • リンパ節
    30%~50%頸部リンパ節の孤発性腫脹、または全身のリンパ節腫脹として現れます。
  • 後腹膜
    5%~10%細い糸状の浸潤や腎門部に腫瘤が生じます。
  • 15%主に骨が溶ける病変がみられます。
  • 関連疾患
    • 遺伝性:家族性RDD、自己免疫性リンパ増殖症候群 I 型
    • 腫瘍関連:ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、随伴するECD(オーバーラップ症候群)
    • 免疫関連:全身性エリテマトーデス、特発性若年性関節炎、自己免疫性溶血性貧血

ロサイ・ドルフマン病(RDD)の診断・検査

RDDの診断を確定するためには、病変部位(リンパ節や皮膚など)の組織の一部をとって顕微鏡で確かめる『病理診断』が必要です。
RDD病変の広がりを評価するために、CT検査もしくはPET/CT検査、骨シンチ検査、頭部MRI検査を行います。血液検査で炎症反応(CRPなど)、肝機能、腎機能、血液細胞数などを評価します。

ロサイ・ドルフマン病(RDD)の治療

ほとんどのRDD患者さんはRDDの病変を持っていてもすぐに命に関わることはありませんが、多臓器に病変がある場合や、中枢神経に病変が出現した場合はもとに戻らない障害を引き起こし非常に重篤な状態となることがあります。
無症状の場合は無治療で経過観察を行うことが多いです。症状がある場合で局所療法(手術や放射線治療など、機能喪失をもたらす恐れがある場合は手術や掻爬は避けるべき)で腫瘍が取り除ける場合は局所療法を行い、その後、厳重に経過観察を行います。局所療法で腫瘍が取り除けない場合には、全身的な治療(ステロイド治療や抗がん剤治療)が必要になります。

ロサイ・ドルフマン病の治療

重要臓器病変:肝臓、脾臓、造血器、中枢神経
化学療法:Special-C ※(ビンブラスチン/メソトレキサート/6-メルカプトプリン/プレドニゾロン)、ビンブラスチン/プレドニゾロン※、メソトレキセート/プレドニゾロン※
**二次治療:クラドリビン※、シタラビン/プレドニゾロン※、BRAFV600E遺伝子変異陽性の場合はダブラフェニブ/トラメチニブ、BRAFV600E遺伝子変異陰性の場合はMEK阻害薬※

薬理分類 一般名 商品名
代謝拮抗薬 メトトレキサート メソトレキセート®
代謝拮抗薬 6-メルカプトプリン ロイケリン®
微小管阻害薬 ビンブラスチン エクザール®
副腎皮質ステロイド薬 プレドニゾロン プレドニン®
プリンアナログ クラドリビン ロイスタチン®
BRAF阻害薬 ダブルフェニブ タフィンラー®
MEK阻害薬 トラメチニブ メキニスト®

RDDに対する全身的な治療の方法は確立していませんが、一般的にステロイド治療(プレドニゾロン:プレドニン®)が行われることが多いです。ステロイド治療の副作用には、感染症、高血糖、高血圧、高脂血症、消化管潰瘍、骨粗しょう症、不眠、便秘、満月用顔貌などがあります。
ステロイドの治療効果が乏しい場合や、再発を繰り返す場合にはメトトレキサート(メソトレキセート®)や6-メルカプトプリン(ロイケリン®)などの抗がん剤で治療を行います。メトトレキサートと6-メルカプトプリンを含むSpecial-C療法(ビンブラスチン注射:エクザール®、ロイケリン®内服、メソトレキセート®内服、プレドニン®内服:1コース28日間を9コース)を初回は入院治療で、2コース目以降は外来治療で行います。主な副作用は血球減少、血球減少による感染症、末梢神経障害、肝障害、ステロイドの副作用です。短期間で再発したり、中枢神経に病変が出現したりした場合はクラドリビン(ロイスタチン®)点滴(保険適応外)を使用することがあります。

化学療法でも効果が不十分な場合は、RDDではBRAFV600Eという遺伝子変異が見つかることは少ないですが、その場合にはBRAF阻害薬(タフィンラー®)とMEK阻害薬(メキニスト®)の併用療法が治療の選択肢になります。一方で、KRASなどBRAFV600E以外のMAPK経路の遺伝子変異がある場合には、海外ではMEK阻害薬(保険適応外)が効果を示す治療として使用されています。

保健適応外

再発時の治療

保健適応

再発時の治療

治療経過

LCHとは?

ほとんどの場合はリンパ節や皮下腫瘤病変に限られており重篤な状態になることがありませんが、多臓器病変を認める方、特に腎臓、肝臓、下気道の病変がある方では予後が悪いことが報告されています。同じRDDの方でも経過が異なりますので、適切なタイミングで適切な治療をする必要があります。

今後の課題

RDD細胞に発がん性の遺伝子変異(MAPK経路の遺伝子変異)を認めることが最近明らかになり、その遺伝子変異が作る物質を抑える薬(BRAF阻害薬やMEK阻害薬)が治療選択肢の一つとなります。昨年、BRAFV600E遺伝子変異のあるRDDを含めた組織球症に対してBRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用治療が可能となりました。そのため、RDD患者さんの病変組織もしくは血液でその遺伝子変異を検査することができるため希望があれば検査を行っています。BRAFV600E遺伝子変異の無いRDDに対するMEK阻害薬単剤治療などの新しい治療方法の開発が期待されます。